スロットマシン梁山泊

 そこでこの会社は、低賃金で従業員(主に学生)を30人ほど雇い、携帯電話を渡してフロリダの14カ所のカジノに文字通り「24時間の張り込み」をさせる。そして、どこかのカジノでこの「期待値が$1を上回った状況」が起こると本部経由で全員に連絡が入り、全員がそのカジノに集合してそのJackpotに繋がったスロットマシンすべてを占領してJackpotが出るまでひたすらスロットマシンをまわす。そして、Jackpotが出たらそこでプレーをやめ、ふたたび別々のカジノにちらばって「張り込みモード」に戻る。

ふーん。

 このビジネスモデルがうまく行った理由は、カジノからお金をかすめ取っているのではない点につきる。カジノとしては、この会社がやっていることは十分承知しながらも、直接の被害を受けるわけではないので黙認していたという(厳密には、他のギャンブラーからかすめ取っていることになる)。

競馬だろうがパチンコだろうが、胴元じゃなく他の客から金をかすめ取るビジネスモデルなんて古来から日本にだってあったんじゃないかと思う。コーチ屋とかそういうんじゃなく、賭けによるビジネスモデルでさえ。「マーケットの効率化の法則」なんて、ギャンブルの世界でこそいの一番に成り立っているし、競馬のオッズなんてかなり効率化されたものになっている。ビジネスの方が合理化って遅いよね。