競馬予想の不確実性と精度

ぜーんぶ競馬の文脈に落としちゃうのもどうかと思いつつ、そこから個人的に離れられないのでこれで行きます。

競馬予想とソフトウェアの見積というのは共通している点があって、それは「分かるはずのない未来の予想を求められる」ということです。

この本では見積、ターゲット、コミットメントは違うもので区別されるべきだと言うことを最初に言っています。見積もりは将来の予想で、ターゲットはビジネス上の目標、コミットメントは約束。普段、「見積もり」を要求されるときは、事実上のコミットメントを求められています

競馬の予想は、将来の予想なのですから、見積もりに相当するでしょう。何を見積もるかというと、どの馬がどのくらいの確率で勝ちうるか、という事。

でないと予想なんかできないはずなんですよ。予言者じゃないんだから、Aという馬が勝ちます、なんてスイチで言い当てる事なんてできない。50%の確率で、この範囲で収まります、というのが一番誠実な予想です。その確率がどのくらい正確なのか、ということが、予想の正確性のはずです。(まあ、競馬予想に誠実さが求められるかということはおいといて)

動物に人が乗って、2000mを駆けて3センチ差で勝ち負けが決まるようなものに、精度の高い予想を求めるというのはそもそも不可能です。それが3分後のことであってさえ不可能であって、毎週毎週大損を積み重ねてるっちゅーのに、来年に出る結果を一点勝負で見積もるなんてどんだけ頭悪いことなんだっつーの!

競馬は見積の精度を競うゲームではなく、見積の正確性を競うゲームであって、相手の見積もりの不正確性をつく所にパリミューチュエル方式を勝つための本質がある。正確性が本質だというのは、ソフトウェアの見積もりでも競馬の予想でも同じだなあと言うのは、この本を読んでなぜか思ったことです。そして正確性を高めるためには、サンプルを多く用意して統計し、正確性を測定しなければならない、と。

最後に、競馬のオッズというのは恐ろしく正確性が高い見積もりです。2006年1月〜2007年6月17日までの中央競馬で、単勝4倍〜5倍の馬の勝率を調べてみました。3234戦603勝、勝率18.6%です。そして、単勝4倍〜5倍というのは支持率にして16%〜20%です。ピタリと収まっています。ファンの総体としての見積もりは強烈な正確性を持っているというのも、また畏るべし、と思います。

6/23あとで書いた。

ソフトウェア見積り

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