大手SIerの存在価値

大手SIerが他の小さくてラディカルな会社と比べて純粋な技術力で勝負するのは無理。だって技術者を作ろうとはしていないし、社員の技術に対するモチベーションが全然違う。技術は目的ではなくて手段だけれど、その手段となる技術を少なくともSIに関しては子会社なり、ソフトハウスに依存している。下手すりゃそこからさらに中国やインド人技術者への発注に依存していたりする。実際自力でモノを作るプロジェクトというのは少ないし、社内の人間が技術を持つ必然性はない。プロマネや企画が主な仕事というのが現実。


では大手SIerが何故未だに生き残っているかと言えば、ユーザーが大規模なプロジェクトを発注するときに伴うリスクを取れないから。○億円の仕事を、小さな会社に発注して、失敗したときにバンザイされては困る。大きな会社であれば、赤字を垂れ流してでも遂行してくれる、賠償金を払ってくれる、責任を押しつけられる。実際は小さなソフトハウスが作業をしていたとしても、大手にリスクテイクして貰うことでユーザーには大きなリスクは及ばない。少なくともユーザーの財布を握っている人がそういう思考をするから、責任を押しつけられる大手SIerの存在に価値が出てくる。大規模プロジェクトの経験がある人材とか、人間を集めてこれるコネクションとかもあるかもしれないけど、それが小さな会社にあったからと言って安心して丸投げ発注できるかというとそうではないですからね。本質は責任を負担できる体力があるかということです。


自分のビジネスのためのシステムにリスクテイクできないヘタレユーザーと、技術をもたない大手SIerがもたれかかっている所に大金が発生しているのですね。もちろんもっとシステムのことや自分のビジネスのこと、プロジェクト運営のことまで当事者として考えてくれるお客様もたくさんいらっしゃいますが、極論するとそんな感じです。