凱旋門賞、現地観戦回顧

細かい競馬場のレポートはおいておくとして、現地で競馬を見ての感想だけ先に。

パドックは見ずに、スタンドに座って見ていました。スタンドとスタンドの間から先頭でディープインパクトが姿を現し、出走馬が一列にゴール前を行進する姿を見て、涙が出ました。出走馬が、満員のスタンド前を整然と行進する姿の美しさ。その先頭を歩いているのが(単に馬番が1番というだけだけど)日本のチャンピオンホースであるという事実。これだけで本当に感動しました。競馬は美しいです。

レースは残念な結果でした。残り300くらいで先頭に立ったときは、すでに外から迫るレイルリンクの脚色が良かったし、仕掛けのタイミングや位置取りがどうのという問題ではないでしょう。競馬を見ていて勝てると思うタイミングはなかったです。

でも、そんなに簡単に勝てないとは思ってはいても、ディープインパクトが後ろから交わされるという光景を目の当たりにするとは思わなかった。やっぱり、日本の競馬とヨーロッパの競馬は、違うジャンルの競馬だと思った方がよいのでしょうね。現地で、「ディープインパクトを買うのか?ハリケーンランだろ!」と聞かれたとき、「勝ってほしい。でも今日は厳しいレースになると思う。モンジューも東京では負けたから、ディープインパクトも今日勝つのは難しい」と片言の英語で答えたけれど(伝わったかどうかは不明)、やっぱりそうなんでしょう。

レース直後は日本人ファンは呆然、欧州人もハリケーンランシロッコの2頭まで消えたことで沈黙。競馬場全体が何か腑に落ちない雰囲気に包まれているように感じました。

それでもスタンド前に引き上げてくる出走馬はスタンディングオベーションで労われました。当然、ディープインパクトに対しては一際大きな、日本人ファンからの拍手もありましたが、肩を落とした武豊騎手には余裕が無かったように見えました。

勝ったレイルリンク歓喜するパスキエ騎手にはさらに大きな拍手が送られました。この日のロンシャン競馬場は、全レースで引き上げてくる馬にスタンディングオベーションを送っていました。勝者を賞賛しないのなら、スポーツではないでしょう。競馬は先頭でゴールした馬とその関係者が偉いというスポーツなんだし。

そう思いつつ、表彰式で流れるラ・マルセイエーズを聞きながら、壇上に立っているのがディープインパクトの関係者だったなら・・とも思いました。そりゃ悔しいよ。泣きはしなかったけれど、「ああ、終わってしまった」という、何ともいえない気持ちになりましたね。


ディープインパクトも、武豊騎手、池江調教師をはじめとした厩舎関係者、金子オーナーまで、立ち居振る舞いは格好良かったです。競馬ぶりからなにから、堂々としていてすばらしかったと思います。

また見に行きたいなあ、そのときは、日本馬の優勝を見たいなあ。