いったい何をクラブとJRAは交渉していたのか

まず、河村氏のblogにある断片的な情報をそのまま受け止めると・・・
http://blog.livedoor.jp/racecourse_ave/archives/50906490.html

こんな感じでしょうか。

  1. 一口馬主の形態に対する国税庁解釈
    • 商品ファンド法に基づく匿名組合である。
    • 名義貸し回避のための便宜上使われているスキームであるかどうかは関係がない。
    • 税務上もこの扱いをするべきである。
  2. クラブからJRAへの要求
  3. JRAの回答
    • 任意組合の場合、競走馬の実質所有権が各出資者すべてにあることとなる。そのため、これは馬主資格の名義貸しにあたるおそれがある。このため、任意組合の形態は認可出来ない。

・・・ということですよね。で、どういう交渉経緯か分かりませんが、「河村氏のblogによると」そのJRAの主張をクラブ側が受け入れざるを得なくなった。ということです。


そうなると、(ここからは自分の推測)

  1. 所得の扱い
    • 一年あたり20万円以上の配当がある場合、雑所得として扱われます。
  2. 納税
    • 配当から必ず20%源泉徴収されます。
    • 賞金・見舞金・保険金・各種払戻金はすべて源泉徴収の対象です。
  3. 還付
    • これまで社台RHなどが採用していたいわゆる「パススルー方式」はNGとなる。パススルー方式とはすなわち愛馬会法人がJRAから支払われた賞金から源泉徴収された税金の還付申告を会員が行うこと。
      • 会員は匿名組合への出資者であるので、競馬の賞金を直接受け取るものではないため、当然還付を受ける資格もない。
    • 配当はその年の所得として計算される。
    • 経費の計上はその馬が引退した年にのみ可能。
    • ファンドはその馬毎に結成されるので、ある馬の損害が他の馬の賞金に対して経費として計上することはできない。

ということですね。だから昨年の夏から騒いでいたわけで。


で、自分が言いたいのはここから。

「クラブは任意組合以外の妥協案を提案出来なかったのか?」ということです。

JRAの姿勢を批判するのは簡単です。でも馬主団体の圧力もあるでしょうし、そう簡単にはOKできないでしょう。

ここで大事なのは、目的です。「任意組合の認可」ではなく、「会員の税金負担増を阻止する」です。その場合は、任意組合ではない方法もあったのではないでしょうか。たとえば、一般馬主、組合馬主とは別の、「一口馬主」という馬主資格を作ってしまうことです。これなら名義貸しじゃない。暴力団などの排除のための審査が追いつかない、という向きには、それはクラブ法人側で責任を持って審査を行うということと、経費負担と賞金受け取り以外の馬主行為は行えないという資格にすることでハードルは下げられます。そのとき、クラブの負担は増えますが、それは会費や入会金増で対応すればいいでしょう。そのくらいは仕方ないです。税金が極端に増えるより数段ましです。


いや、これ以外に案はあったかもしれません。ただ、まさかクラブ側は負担を増やせない、JRAが姿勢を改めるべき、という一方的な姿勢で交渉が終わってしまったのではあるまいな、というのが私の疑念です。



まあ、どれもこれも「河村氏のblog」という不確かなソースに基づいた自分の想像ですし、クラブがどのように交渉を進めてきたかも全く開示されていない現状で考えた、想像の域を出ないことです。



最悪、クラブ側の事務は増えても税金が増えない決済方法を採ることもあり得るでしょう。クラブからの連絡を待ちます。